経営・診断

働き方改革の範囲はどこまで?

ITを活用した働き方改革のソリューションを眺めていると、勤怠管理(労働時間の可視化など)、残業削減(一斉消灯など)、テレワーク(在宅勤務など)、コミュニケーション支援(会議の効率化、グループウェアなど)、RPA(手作業の自動化ツール)などのツールが多いように感じます。よい働き方とは何かを考えたときに、人財の管理ができていることを基盤として、その上に、組織としての生産性向上や社員の柔軟な働き方を実現しようとしているからだと考えます。前回の考察を踏まえると、人財管理や組織の生産性向上ツールは、組織にとってのよい働き方を実現するための手段で、社員の柔軟な働き方を支援するツールは、個人にとってのよい働き方を実現するための手段を提供していると言えそうです。

今は、個人の柔軟な働き方にあたるのはテレワークくらいなのが少し物足りない気もしますが、ITツールを購入するのが企業ごとなので、複数のコミュニティにまたがったソリューションがなかなか出にくいという事情もあるのかもしれません。文化や制度が変わると、また違った展開もありそうな気がします。例えば、複数の企業で働くことがあたりまえになると、労働時間やスケジュール管理をまたがって行う必要が出てきて、ツールもっと個人ドリブンに変わっていくような気がしています。

いずれにしても、現状のITが提供している働き方に関するソリューションは、ホワイトカラーの人たちの働き方を支援することにフォーカスされている傾向があります。どんな企業でもニーズがあるので市場が大きいことが一因だろうと思います。しかし、「人が働く」現場は、オフィスだけではないですね。農業や工場、小売・サービス、輸送などさまざまな働く現場はもっと広いはずです。これらの現場に対してITがソリューションを提供していないわけではありません。農業であればアグリテック(Agritech)とか、工場であればスマート工場とか、別の切り口でさまざまなソリューションがあります。これも働き方改革ではないでしょうか。あまり対象を広げると訴求ポイントがわからなくなるので、セグメントを切って展開している、ということだと思いますので、ITベンダー側の戦略は理解できますが..。

先の組織と個人の議論と同じで、働き方改革という言葉が非常に広い範囲を含んでおり、解釈や人によって捉え方がさまざまなことが、働き方改革の議論をより難しくしているようにも感じます。