経営・診断

今をゼロと考える

「ゼロからのスタート」という言葉を聞いてどのような印象を持たれるでしょうか。今まで築き上げたものを一旦リセットして、再度初めからやり直す、という意味で使われる言葉ではないかと思います。持っているものを捨ててでもやりたいことがあったり、失敗したことで全てを失ってしまった中から再起する、というイメージがありますね。

皆さんは、ありたい姿を思い描き、そこに近づこうと日々努力しているのではないかと思います。私も、経営戦略の策定時には、外聞環境・内部環境の現状分析を踏まえ、ありたい姿に向けて、何がギャップかを洗い出すことから解決すべき課題を抽出する、というのフレームワークをよく使っています。しかし、この考え方は、ありたい姿がゼロで、マイナスを埋めることを考えるとも捉えられます。ようやくゼロを達成すると、次の目標に向かって進み始めますから、またマイナスからゼロを目指すことになり、際限がありません。人間の心理的にはかなり厳しい状態になりますね。

先日、ある方から、考え方の転換のお話を聞きました。現在がゼロの状態である、と置きます。その状態から達成したことは、すべてプラスだと考えます。そうすると、今の状態からさらに幸せを感じることができるようになりますよ、というお話でした。やっていることは変わりませんが、マイナスを埋めていくのではなく、プラスを積み重ねていくと見方を変えることで、「まだ足りない」と感じるのではなく、「ここまで来た」と感じるようになります。

企業の成長や中期経営計画において、目標をセットしてそこを目指すことは非常に重要です。ただ、その実行の過程において、今をゼロと考えることで、幸福感と達成感を感じながら目標に進む方がモチベーションを維持できるのかもしれません。もの見方とは、面白いものですね。