経営・診断

「家康江戸を建てる」は企業の物語

この年末年始で「家康江戸を建てる」を読了しました。1月2日・3日の二夜連続でNHKでドラマが放映されるので、その前に。従来、時代劇、特に徳川家康のような天下人を描いた物語は、その人物に焦点をあてて書かれることが多いものです。そのため、題名を見て、本書も家康そのものの考えを中心に書かれているのかと思って読み始めました。その予想は、よい意味で裏切られました。

この物語は、家康という一人の英雄の物語ではなく、徳川家という企業の物語なのですね。家康が治世に必要なことを考え部下に下命するわけですが、大会社のトップである家康は、そのひとつひとつの実行に携わっているわけではありません。基本的に、下命を受けた部下が権限と責任を持って事業を進めていき、節目節目でトップに報告したり判断を仰いだりするわけです。これは、現代の大企業の仕組みと同じですね。

物語はいくつかの治世事業のトピックスごとに分かれていますが、それぞれのテーマを別の角度で眺めてみると、「第1章 流れを変える」は、治水という専門的な建設事業を業務委託する話、「第2章 金を延べる」は、のれん分けで分家が本家を凌駕していく話、「第3章 飲み水を引く」は、製品のイノベーションによる世代交代の話、「第4話 石垣を積む」は。研究所の新技術開発を商品化して世に送り出す話、「第5話 天守を起こす」は、二代目への事業承継のお話、と捉えることができます。

その下で働いている各章の責任者は、中間管理職とも言えますし、業務委託をされた別企業の社長とも言えるかもしれません。実際、大名たちが豊臣家から徳川家になびくのも、裏切りというよりも、自社が生き残るために、業績のよい会社に主要取引先を変更したと考えることもできます。

各章を自社に置き換えて読んでみると、また新たな発見があるのではないでしょうか。果たしてドラマはどのような視点で物語を描いているのか、楽しみです。