経営・診断

従業員エンゲージメント

従業員満足度は、よい企業か否かの指標として使われることが多いですね。従業員からすれば、給与水準が高い、福利厚生が充実している、人間関係が良好など、働きやすい環境が与えられていれば、満足感を得られる可能性が高くなります。最近は、働き方改革の文脈で、残業時間や休日にフォーカスして語られることも多いようです。

従業員が満足することは、会社にとってもメリットがあります。満足度が高い従業員は、仕事に対するモチベーションが高くなりますから、積極的に仕事に取り組むようになります。その結果、製造業では、同じ時間内に生産できる製品数が増えたり、サービス業では、お客様への接客の質があがり顧客満足度があがってファンが増えたりすることで、売上や利益など業績の向上に結び付いていきます。

従業員満足度をあげることは、とても重要な経営マターであると言えます。今回は、従業員満足度の考え方をさらに進めた、「従業員エンゲージメント」の考え方をご紹介します。エンゲージメントというと、エンゲージメントリングを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。エンゲージメント(engagement)という言葉は「約束」「婚約」といった意味になります。そのままの意味で「従業員エンゲージメント」を捉えると、企業に束縛されるイメージがあるかもしれませんが、日本語に訳すと、会社への愛着・絆が近いと思います。

従業員エンゲージメントは、従業員満足度よりも強力です。会社への愛着があり、絆を感じていれば、個々人が、より組織に貢献したいというモチベーションが発揮されますので、業績向上の可能性がより高まります。エンゲージメントが高い従業員は、会社の方針や戦略をより理解しようとし、その戦略において自分の仕事がどう貢献できるかを主体的に考えられるようになります。自分の貢献を意識できれば、仕事に関してよりやりがいを感じることができます。絆を感じている優秀な人材は、他の企業からヘッドハンティングされたとしても、自社に留まってくれるでしょう。

かつての日本の高度成長期を支えた企業では「勤務先の会社が大好き」という人が多かったのではないでしょうか。会社人間といったネガティブな捉え方もありますが、彼らは、従業員エンゲージメントの高い状態であったのではないかと思います(行き過ぎて主体性をなくすと弊害が出てきますが..)。

個客満足度が、会社から与えられたものに対して従業員が満足するか否か、という論点なのに対し、従業員エンゲージメントでは、会社と従業員の関係は、より対等になります。会社に愛着を持つ主体は、あくまで従業員側の意思だからです。従業員エンゲージメントを上げることは、従業員満足度を上げることよりも難しいということでもあります。経営側としては、従業員との信頼感を高めるために、自社の方針や戦略を、トップ自らの口から従業員に語り掛けていくことが、何よりも重要な施策となります。従業員への繰り返しの語りかけをお勧めします。