経営・診断

事業承継で考えること(概略編)

引き続き、事業承継に関するポイントについて見ていくことにします。事業承継を考える際に、最初の分かれ道は、後継者がいるか否かです。後継者がどうしても見つからないというケースも残念ながら多くあります。その場合には、M&Aで他の企業に事業を引き継ぐか廃業を考えなければなりません。一方、後継者がいる場合には、後継者への引き継ぎをしていくことになります。

後継者への引き継ぎを考える際に、よく言われるのは株式の承継問題です。平成30年4月1日付けで事業承継税制が改正され、株式にかかる贈与税や相続税が100%免除できるようになりました(5年間は後継者が会社の代表者であり続けること、5年間は雇用の8割を維持すること、会社の株式を保有し続けることなどの条件があります)。このような財産の承継については、お金の絡む話でもあり、よく議論されます。

忘れてはならないのは、経営の承継です。経営者としての経営手腕や人脈の承継、経営理念の承継、独自の技術・ノウハウなどの自社の強みの承継、取引先・金融機関からの信用の承継、従業員からの信頼の承継など、後継者が事業を継続していくために必要な経営の承継を忘れてはなりません。そのうえで、経営者としての地位の承継があると言ってよいでしょう。

これらの財産の承継や経営の承継を行うためには、現状をよく整理したうえで、事業承継に向けた長期経営計画、事業承継計画を作成していくことが有効です。次回は、これらの計画を立てるために整理するべきことについて見ていきたいと思います。