sMA業界研究|パソコン教室|M&Aとフランチャイズどっち?
スモールM&Aの業界研究ということで、「パソコン教室」の業界を何回かに分けて見ていきます。今回は、スモールM&Aによる開業とフランチャイズによる開業を比べてみます。
パソコン教室を開業する際の選択肢として、M&Aで事業を引き継ぐ方法とフランチャイズで新規開業する方法が考えられます。(個人で一からコンテンツを作って開業する方法もありますが、M&Aやフランチャイズ方式に比べてコンテンツの開発等のハードルが高いので、ここでは取り上げません。)
今回は、「M&A方式とフランチャイズ方式のどちらがよいのか」について考えていきます。
そもそもパソコン教室は、M&Aが行われるものなのかと思う方がいるかもしれませんが、パソコン教室で有名なブランド「アビバ」の歴史はM&Aの歴史でもあります。
出所:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%93%E3%83%90
Wikipedia アビバ
アビバは、1981年にパソコンスクールを開始した後、1996年 会社名を株式会社アビバジャパン、教室名をアビバとして成功を収めましたが、2003年の教育訓練給付金制度の見直しで新規受講者数が大幅に減少という危機に見舞われます。2005年にベネッセグループ傘下となっています。その後も、2010年に全株式がスリープログループ株式会社に譲渡され、同年に株式会社ホーム・コンピューティング・ネットワークが吸収合併、、商号を株式会社アビバに変更。2011年に株式会社リンクアンドモチベーションに全株式を譲渡されています。買収額は9億8000万円でした。2013年 株式会社アビバは大栄教育システム株式会社と統合し、株式会社リンクアカデミーとなりました。しかし、「アビバ」はパソコン教室のスクールブランドとして引き続き運営されています。
買収金額からわかるように、アビバは非常に大きなM&Aの事例ですが、スモールM&Aのポータルサイトで検索すると、個人事業主ベースのパソコン教室も売買されています。ご興味を持った方は、最新の情報を調べていただきたいのですが、2022年1月時点での独自調査では、従業人0人~数名の小規模事業者で利益があまり出ていないケースで、500万円前後の売り案件が一定数見つかりました。
一方、フランチャイズも数多く存在します。こちらも、フランチャイズによって必要なお金はさまざまですので、最新の情報を確認していただく必要がありますが、加盟金・保証金と内装費等の初期費用が500~700万円程度、ロイヤルティ等のランニングコストが10%~20%程度が多いように感じました。
これらの独自調査から、パソコン教室事業の特徴として、次の2点があげられると考えています。
ビジネスモデルで見た「事業の収益性」から、単年度黒字化にはおおよそ生徒60名を集めることが必要なようです。また、その生徒数を集めるためには、広告を打つなどして約半年~1年かかっているようです。(いずれも個別の事情により異なります。)
このような事業の特徴を踏まえて、M&Aでの開業とフランチャイズでの開業のそれぞれのメリットを整理したのが次表になります。
今回の調査からは、初期費用にはそれほど大きな差異はありませんでしたので、M&Aのメリットである「スピードと確実性」、FCのメリットである「立地から検討できる柔軟性」等を見て、開業を考えている地域の状況やご自身の事情を勘案して検討していただくのがよいと考えます。
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