sMA業界研究|パソコン教室|ビジネスモデル

sMA業界研究|パソコン教室|ビジネスモデル

スモールM&Aの業界研究ということで、「パソコン教室」の業界を何回かに分けて見ていきます。今回は、ビジネスモデルについてお話していきます。

パソコン教室事業のビジネスモデル

パソコン教室が真ん中の部分で、上に記載しているのはお客様です。下に記載しているのは、パソコン教室を行うためのインプットになります。パソコン教室は、上の一般消費者に対して教育学習支援をして月謝をいただくというのがビジネスモデルの基本になります。必要なインプットとしては、パソコンやソフトウェアの操作教材等のいわゆる材料費、教室を借りる地代家賃や、パソコンのハードウェア・ソフトウェア等が設備費にあたります。もう一つ忘れてはならないのが、講師をされる方のお給料等の人件費です。

従来は、シニア層や就業を希望されてる方がそのパソコンの操作方法や文書ソフトの操作方法を習うのが主流でしたが、前回の記事でご紹介したように、小学校でのプログラミング教育の必修化で、お子様が学ぶニーズが増えてきたり、社内のDX推進のためにITリテラシーをあげたい社会人の方等、お客様の幅も広がっています。

もう少しパソコン教の業界を深掘りしていきたいと思います。

パソコン教室業界のファイブ・フォース分析

こちらの図は、ファイブ・フォース分析という手法で業界の魅力度を分析したものです。ビジネスモデルの絵で下にあった材料や人材は、この図では左にあります。これらは、パソコン教室側への売り手ということになります。講師をどう確保するか、よい教材コンテンツをどう確保するか等が、パソコン教室にとって重要なポイントになります。
右側に記載したお客様はパソコン教室のサービスの買い手になります。小学校のプログラミング教育向けの授業を行う場合は、受験科目という側面が出てきますので、高い教育品質が求められますし、場合によっては英会話等の他の受験科目とあわせたワンストップでの提供を求められることもあるかもしれません。お子さんの場合とシニアの場合ではニーズが違いますので、接し方サービス品質ということも違うものが求められます。
中央が競争環境です。市場が伸びているため、プレイヤーが増えており、競争は激化しています。価格競争、品質競争が激化していくと見ています。新規参入者も増えており、資金力のある大手の参入等は大きな脅威になります。異業界からの参入も今後も増えてくると思われます。代替品としては、YouTubeをはじめとしたオンラインでの無料動画配信も考えられます。

では、パソコン教室を始めるのに必要な開業資金はどれくらい必要になるのでしょうか?

出所:https://j-net21.smrj.go.jp/startup/guide/service/h020.html
J-Net21 業種別開業ガイド

パソコン教室の収支モデル(例)

J-Net21の業種別開業ガイドでは、パソコン教室を開業するのに約700万円弱となっています。店舗の取得、内装・外装の工事、パソコン等の什器・備品、広告宣伝費等にお金がかかります。
では、パソコン教室を始めた後の収益モデルはどうなっているのか。こちらの試算では、生徒数は平日32人、休日28人ということで、約60人の生徒数を想定しています。月謝を1人あたり2万円と仮定しますと、年商の売上としては約1,440万円になります。
では、それに対してどのようなコストがかかるのか。フランチャイズの場合ですと、人数分の教材を購入する必要があるとしますと、それが売上原価になります。こちらの試算では、売上原価は売上の約10%になっています。それ以外に、固定費と呼ばれるようなコストがかかります。大きいのは人件費です。他に、教室を借りている地代家賃、広告宣伝費等を合わて、合計810万円になっています。
これらのコストを差し引き、残りが利益ということになります。こちらの試算では、486万円になっていますが、個人事業主を想定した試算ですので、法人の場合の役員報酬を取ると、このビジネスモデルでおおよそ収支ゼロかと思います。

パソコン教室の業界について、おおよそのイメージを持っていただければ幸いです。